建設業を営む会社にとっての資金調達方法といえば、これまでは、従来の「銀行融資」がメインであり、多くの企業は「借り入れ」による方法をとることがほとんどでした。しかしながら、近年はこの傾向がやや変わりつつあります。というのは、これまでの「資金は融資で」という考えから、売掛債権を譲渡する「ファクタリングも選択肢に加えてみよう」という流れが出てきているためです。その背景には、建設業が持つ特有の事情があります。

建設工事などの契約では、まず工事完成を施主に約束し、引き渡しが済むことで完了する請負契約になります。そこではじめて、代金を受領することができるわけです。つまり、仕事を提供してから実際にお金を受け取れるまでは、数ヶ月あるいはそれ以上というケースも多く、かつ、資材や下請け企業への支払いなどで膨大な資金が必要になります。代金の一部を前金というかたちで受け取ることはできますが、すぐさま動かせる資金としては不十分でしょう。

そんな事情にファクタリングはぴったりであり、需要にマッチした資金調達方法であるといえるのです。同時に、ファクターにとっても建設業というのは契約したい先でもあります。というのは、取引が大口なのと、リスクが少ないというメリットがあるからです。リスクが少ないことの要因に、一般財団法人がおこなっている保証事業の存在があります。

例えば、売掛先企業が倒産するなどして、支払いがされないという場合、そのリスクはファクターが負う契約がほとんどでした。しかしながら、ファクタリングの需要が増えていることから、そのようなことがあった場合には売掛金に相当する額が保証してもらえるようになったのです。